いびつ
過ちを忘れるように
不義理の子として捨てられた
ひもじさが生きることの全て
兄弟達は売られて消えた
醜さゆえに買い手が付かず
街に行けば仕事にありつけると
山道を北に向かって下り
最初の路地裏に落ち着いた
傷付いたのどが嗄れるまで
世界を愛しているとほらを吹いた
路地裏の除け者は喜んで
幸せそうに耳を傾けてくれた
最期に感じるものは
温かくて柔らかい手だといいのに
夜になり目を閉じると
恐怖で震えが止まらなかった
やがて私も気付くことになった
この世にねずみなんて存在しない
ただ人をごみにして捨ててきた
くそくらえな神がいるだけだと
もしかそれが神でなかったとしても
親でなくて良かったと思った
どこでどんな風に死んでも
人が人を殺すよりは幸せな気がした
除け者達の目が好きだ
目隠しにさえ気付かない
灰色をした曇った目には
醜い私が映らない
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