雑感

あまり働かない頭を使って
ぼんやりと辞書の字を指でなぞる
点数を稼ぐために昔それを覚えた時
発音したいと思ったことは一度もなかった

人が人と一言も交わさず
にも関わらず言葉だけを収集する
それを異常な環境と言う為には
まず正常な環境の把握が必要だったし

ボクの好きな人は自分を利用していいというけど
ボクに失われた子供時代を取り返すよういうけど
ボクは
人間として扱われることさえなかった人間の絶望で胸がいっぱいになるだけ

確かにそれを愛だと言うのかもしれないが
ボクは家族すら知らない
正常値に収まり始めた神経の伝達回数が
ボクに彼らを家族と呼ばせない

あなたはだれになるんだろうな
キョウチクトウやニガウリやラナンキュラスで
あなたの空白を埋める
間違えていることは分かっているが答えが他にないのだ

有り合わせの心をコピーして
作られたお仕着せのボクはなかなか肌に馴染む
寒いと凍えることも暑いと汗をかくこともない
理性を破壊しそうな冗談も言わないで済む

キミとおしゃべりしたい
ハンドルを切りながら思う
息をするのと同じように
ヒトと言葉で会話してみたい

無理かな
心臓の残り時間も限られてるんだし
人が見たい美しい物語を書くのは
難しいだろうな

ボクはただあなたの名前を知りたかったんだ
ボクはただ自分の名前を呼ばれたかったんだ
でも何もかもが手遅れだ
ボクは指先から星に還っていく途中

ボクは世界を作ろうとした
笑うよりも先に
母を追うよりも早く
ボクは独りなぜか世界を作りたがった

小脇に紙袋に入った猫を抱えて
トイレのサンダルでそろばんを習いにいく
大きくなったらはぐれたイルカになろう
そう強く心に願いながら

投稿者

神奈川県

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