灰色のオフィスに沈む声

朝の光がビルに当たるたび
胸のどこかがざらついていく
この場所はいつから
ため息の重さを量る秤になったのだろう

理不尽は机の上に転がり
責任だけが静かに積み上がる
誰の声も届かず
誰の痛みも見えないまま
同じ一日が繰り返される

笑えるふりはもうやめた
大人だからという呪文を
飲み込むのもやめた
あの人の機嫌のために削られた夜を
何度思い出せばいいのだろう

失望という言葉は
意外なほど静かに胸に沈む
怒りは燃え上がるのに
その灰だけは
いつまでも消えてくれない

ここにいる自分が
少しずつ削れていく音がする
けれど
それでもまだ
自分を捨てたくはないと思えるのは
きっと
心のどこかに
ほんのわずかでも
明日への望みを残しているからだ

投稿者

京都府

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