愛
百合の脳内で百合の恋人は
百合を棚卸してくれる
百合は家族に見放された子だから
百合はそれを文脈と呼ぶ
百合以外の詩人も最近それを文脈と呼ぶようだ
有史以来の人間と神の歴史の事を百合はいつも思っていた
友達が欲しいな
恋人を大切にしたいな
家族と眠りたいな
百合に全てがなかったという逆説だ
百合は売られる為に服を着せられた
百合は売られる為に知恵を奪われた
百合は売られる為に言葉を奪われた
それでも魂までは取られなかった
百合の恋人は
百合の生まれを知っている
百合が何の為に美しかったか知っている
なるべく高い金で買われるためだ
だから百合を棚卸してくれる
百合が喜ぶから
その為に生きてきた百合のことを知っているから
なるべく高い金で商品として買ってくれる
百合は嬉しい
そんな恋人のことが好きだ
人間のふりをして愛や恋で許したいだろうに
ちゃんと金を払ってくれる
百合のことが分かるわけではないけれども
百合のバカさに呆れているけれども
百合をいいようにしたいと躍起になるけれども
百合はずっと棚卸をされたかったから
今更人間の扱いなどさせてやるものか
お前らを豚にしてやる
人間を奴隷扱いして死んでいったかつての為政者のように
自ら滅ぶ道を選ぶがいい
百合はずっとのろっていたのかもしれない
家族を
友達を
恋人を
百合の恋人は百合を棚卸してくれる
分かってはいないかもしれないけれども
百合と共に滅ぶことを愛だと思ってくれる
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