メーター

人の、頭の上にメーターが見える
朝起きたら、こうなっていた
子供は青色で半径ばかり
老人になると
バウムクーヘンのような形で橙か赤色

嫁さんは、緑色で3分の2以上残っている
子は青色
上司のB課長はストレスか、橙色で点滅中

これが何なんのか
よくわからない
自分のメーターは見えない

街中を歩くと、様々なメーターが見える
白色とか、黒色の人もごく稀にいる
雰囲気が人間離れしている
人なんだろうか、怪しい

テレビの画面でも見える
大物政治家は色違いの赤が積み重なる
人の生き血を吸っているかも知れない
一度、紫の人を見た
神社から出てきたが、たぶん人ではない

ある日、雑踏でこちらを見て驚く人がいる
丁度、メーターの位置
追いかけて声をかける
すいません
はい
あの、見える方ですか
はい
貴方もですか
そういって、こちらを見る
可哀想に、赤く点滅している
やめて置こう、と
向こうも同じ表情を浮かべている

まさか、赤く点滅しているのですか
声が重なる
互いに真っ青になり、無言で別れた
そうだったのか
もう、生命が残ってないんだ
だから、他人のが見えるのか

何か、方法はあるはず
メーターが黒の人を見つけ、問う
すいません
はい
メーターを増やすには
どうすればいいですか

黒の人は、耳元で囁く
他人のメーターをすくって
自分のメーターに移し替えるんです

なるほど、簡単だ
街中で、見知らぬ人から少しずつ奪う
おそらく、メーターは満タンのはず

   ✳

どす黒いメーターをした亡者が独り
黒いマントを羽織り
雑踏で微笑みを浮かべている

もう、人間ではない
人間からは見えない
白色の、メーターをした人がつぶやく
哀れ
その生命を、人の為に捧げれば
今頃は、私たちが迎えにいったのに
翼を広げると
大きく羽ばたかせ、天に戻っていった

投稿者

大阪府

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