生きている証

朝が来ても
心だけは夜を引きずったまま
冷たい布団の端で
世界をためらっている

息を吸うたびに
胸の奥で小さく軋むものがある
名前はない
けれど確かに重くて
背中にそっと手を掛けてくる

今日も うまく歩けるだろうか

人混みにまぎれると
自分だけ透明になったようで
声を出そうとすると
喉の奥が硬く閉じる

強くあれと言われるけれど
強さってなんだろう
折れないこと?
泣かないこと?
それとも
辛さを抱えたまま
一歩すすむこと?

夕暮れ
空がゆっくり色を変えていく
その境目に
わずかな優しさが宿る

風が言う
あなたは あなたでいていい
影が言う
ここにいていい

夜の街灯が灯るころ
今日をなんとか終えた自分が
少しだけ
誇らしく思える

生きづらさは
消えてくれない
けれど
その隙間に微かな光が差す日は
きっと来る

だから今は
ただ息をしていていい
それだけで
十分すぎるほどの
生きている証だから

投稿者

京都府

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