まだきこえない

木枯らしに吹かれて
カラカラと
道を転がる落ち葉は色を忘れ、
毎朝の珈琲は
コクも香りも擦り切れて
味気なさにこぼれるため息
 
旅立ちたい。と
沸き立つ想い
堤防に連なる満開の桜が
散らす花びらを見たいと
黄金に輝く棚田に差す
夕日の向こうの海を見たいと
 
小さな願いは
ツバメの背を借り
遥か南へと
イルカの瞳に宿り
ワダツミを
波を切って疾走し
 
揺れ動く心を
捕まえて
辿る道の先に
ポツンと駅はあり
 
コートの襟を立て
私は駅の改札を抜け
 
朝の静寂に
耳を澄ませば
近づく列車の鼓動が
私を震わせる

投稿者

愛知県

コメント

  1. ポツンと駅はあり・・・とても良い心象に出会えました。ありがとうございます。

  2. @風太郎 さん、コメントありがとうございます。
    最近旅行らしい旅行に行けていないので、憧ればかりが募っています…

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