氷聴の環

序歌
冬の野に
声なき影は
座しながら
氷の下より
世の鼓動聴く

一 聞き手
天つ風(あまつかぜ)
氷の下なる
流れ聴き
影は座しけり
沈黙の鼓動

二 旅人
白雪の
道にぞ立てば
遠吠えの
狼の声は
風に消え行く

三 守り手
石の輪に
松が枝折りて
灰を置く
顔なき守り手
氷に刻まる

反歌
凍る野に
影の跡残り
声は消え
氷に刻みて
環は破れず

投稿者

東京都

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