夜明け

夜明け

扉の中は真っ暗で
掲げ持ちたるカンテラ一つ
明かりの頼りとなりにける

闇に伸びたる階段の
果てなき螺旋を見上げれば
広がりおるは天の川

躊躇う足を踏み出して
己の靴音に怯えしも
高鳴る鼓動を抑えけり

段差の隙間を覗き見れば
奈落の如きに目眩せし
ただ上のみを見るべしや

いかに進めど螺旋は尽きぬ
天の川は近づかぬ
靴音は乱れに乱れぬ

半ば目を閉じ歩きおれば
突如に尽きし階段の
いつしか消えおる天の川

螺旋の先端に腰掛けて
夜明け近しと
カンテラの火を吹き消さむ

東の空は橙が
見る間に色濃く輝きて
眩き光ぞ差し込めり

西の空には名残の星
それも次第に白く褪せ
菫色なる此方かな

北と南は朝夜の境
光と闇の彩りは
まだ覚めやらぬ夢の如し

空の変化はやがて落ち着き
朝は告げしや
今日の晴天

投稿者

大阪府

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