口癖
正門の所で
白濁した眼の犬が
伏せている
あなたの差し出す手に
少しじゃれて
午後にはやはり
日差しが似つかわしい
栄養のあるものを食べなさい
あなたは口癖のように言うけれど
他の口癖を
わたしは思い出せなかった
かつて統治した者の銅像以外
ここに吹く風には
遠い春の気配がしていた
栄養のあるものを、と
何回目かを言いかけると
老夫婦を乗せたトゥクトゥクが
真っすぐに通りを抜けて
わたしたちはもう何の
日々でもなかった
正門の所で
白濁した眼の犬が
伏せている
あなたの差し出す手に
少しじゃれて
午後にはやはり
日差しが似つかわしい
栄養のあるものを食べなさい
あなたは口癖のように言うけれど
他の口癖を
わたしは思い出せなかった
かつて統治した者の銅像以外
ここに吹く風には
遠い春の気配がしていた
栄養のあるものを、と
何回目かを言いかけると
老夫婦を乗せたトゥクトゥクが
真っすぐに通りを抜けて
わたしたちはもう何の
日々でもなかった
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