喧騒

動物園の隣に都会ができた
都会は色彩にあふれ賑やかだった
動物園に雨が降れば
都会にも雨が降った
都会に春がくれば
動物園の桜もきれいに咲いた
塀や樹木に遮られて
動物は都会の様子を
見ることはできなかった
彼らは遮断された何かだった
それでも都会の音を聞き
匂いを嗅いだ
都会は日々膨張して
やがて動物園も
その一部になることが決まった
大きい動物も小さい動物も
それぞれの施設に引き取られた
彼らが最後に見た景色は何であったか
誰も関心を示さなかったけれど
相変わらず
都会は温かくて華やかだった
都会に柔らかな雨が降った
動物園があった更地にも
同じ雨が降った

投稿者

コメント

  1. もし近所に「温かくて華やかな都会」があったら
    私は一歩もそこから出ることがなく暮らしたいです。
    東京は不愛想で可愛くない街になってしまいました。
    もうすぐパンダもいなくなります。

  2. @nonya
    nonyaさん、コメントありがとうございます。
    nonyaさんは東京人ですものね。余所者の私でも、例えば銀座の変わりようは残念でならないのに。
    ランランカンカンは来日してすぐ見に行きました。まだ、就学前だったかな。おじさんに肩車してもらって、遠くに小さく見えました。あれも東京の一部だったのですね。政治利用されるくらいならパンダなんていらない、なんて思う私は汚れてしまったのでしょうね、、、
    今年一年お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

  3. うまく言えませんが、喧騒がありきの都会ならば
    静寂のほうが煩く感じるようになってしまうのかなと。
    この作品にある「動物園」は動物に見立てた人のコミュニティに思えました。
    (あくまで自分の自由すぎる想像ですが、刑務所みたいな)
    喧騒を起こすのも、いいこともわるいことも爛漫になるには
    どこにいても人ありきですね。
    静寂を通り越して沈黙に近い過疎地域に住む者にとっては
    色のある街を眺めているエイリアンみたいな気持ちになります。
    同じ星、同じ雨でも感情でさえ薄いのは、そもそも感じる人が少ないことを
    ひしひしと感じます。静かで迫ってくる無音の硬い喧騒・・・いつまでたっても春を待つ想いは続きますね。

  4. @kフウ
    kフウさん、コメントありがとうございます。電車に乗って、家の屋根や窓や、アパートの外階段を見るのか好きです。部屋の間取りやその部屋に住んでいる人の暮らし、あるいはここに住んだら自分の人生、何か変わるのかな、とか、想像しています。
    動物園が好き。何だか、こちらを放っておいてくれるような、寂しくて、優しくて、そんな場所だから好き。
    今年、大変お世話になりました。
    来年もよろしくお願いします。

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