遠くへいく
しなびたピーマンみたいな人生
でも家族はわりとだいじにした
拾ってくれた会社も家だと思っている
山並みが朝日に照らされている窓
陰影で斜めに切り取られたテーブル
その明るい方にスマホを置く
兄貴が褒めてくれた
甥が挨拶してくれた
母が喜んだ
それ以上の何かなんて要らないなぁ
と私はすぐに感動してしまう
生きていることに
関東を出てしまえば大抵のところは
皆同じようだ
人がいない
とぼとぼとファーストフード店を探して歩きながら
良かったなぁと思う
今日良かったなぁと思うことを幸せに感じている
冷えきった空気
白いモヤ
川から立ち上っているあれは水蒸気なのかしら
上位1%
と兄貴は言った
上位1%
幸せだな、と思う
みんな普通の人で良かったなぁ
悩んだり苦しんだりしながらでも生きていることには価値があると思える
遠くへいく
僕たちは遠くへいく
たとえばこんな風にふと知らない土地へ
とても静かな朝だ
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