対話篇

皿たちを漸く洗い終えた夜の台所で、
僕はひとり、久しぶりにこのWordに向かっている。
誰に宛てた書簡なんだろうか?
韓国を天国だと思っている竣(ジュン)。
今は君は休み、隣室で洟をぐずつかせながら眠っている。
僕は今日の一日を思案している。
たとえば、ガザに降り止まない空爆。
無茶だと知りながら、最大限の抵抗を、
僕はこのペンで思惟し続ける。
今朝は生協が届き、帰宅した竣(ジュン)が、
待ち望んでいた牛乳を喜ぶ。
眠りに就く前、布団から彼と少し会話する。
「なんでニホンは、チョウセンをおもちゃみたいにするの?」
沢山の事柄を吸収し、数え切れない不思議と、
もっと数え切れない純粋な喜びを手にする。
差し出されたのは手だった。
握り返す私の手はやはり震えた。
笑う。笑う。耳鳴りが鳴り止まなくなる。
一体、何処に立てばいいのさ? 自分の足許をじっと見つめる。
ずっと昔、長い長い昔、僕は、
韓国を天国だと思っていた。
初めて食べた海苔巻き(キンパ)、かぼちゃ粥(タノバッチュク)。
あの思い出は、何処にも消え去れないよ。
永遠にリフレインする言葉。
ここは外だから、またいつか、
君とゆっくり話したいな。
頁を閉じる。忽ちに眠りが訪れる。

投稿者

京都府

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