残光
アジアの突堤に立ち、暮れて行く島々を眺めていた。
冬の定刻、温かい紅茶のペットボトル。
宇宙の軒先を数え上げ、仔細な点検を行う。
既に濃紺に変わり始めた空を、
君も真剣に数える。
流れる星。流れ行く雲。水のように過ぎて行く刻。
歳を取ることも罪じゃないよな。――この頃は、漸くそう思える。
繰り返し繰り返し、刻み続けた。やがて刃が折れ、
万策が尽きる。灯明が吹かれて消え、悪い輩が来る。
見えない橋を渡り、渡り終えた後で気付く。
大河。足許を流れていた清水(せいすい)と濁流。
こうして生を終えることにさえ、今は何の感慨もない。
際限のある詩魂(ことだま)。バイバイ、バイバイ…。
夕刻に立ち、私はありったけの光を振(ふる)う。
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