ジョーク

突然だけど
私は神の描く絵の通りに生きたいと思う
時々そう思う
すべては神が創り上げた
私の語彙では足りないのだけれど
人はただそれを指先で撫でることが出来るだけ
その絵に不必要な皺を寄せたり
余計な遠回りを加えたり
色褪せさせたりしたくないだけ
神様は好きだから
その絵がどんなに醜いものであったとしても
人間は描こうとしなければいけないと思う
世界の終わりを
神様、と呟いてコンビニのある四つ角を曲がると
「あなた」によく似た別人が歩いていく
姉は父が好きだったから父の姿をよく見ると言っていた
畏怖や尊敬、思慕、愛着に友情、
それらをまとめて家族と呼ぶんだろう
神様、「あなた」はとても、なんていうか優しいのだ
いつかもう見えなくなってしまったけれど、若い頃の私達のように
悲しい、と素直に嘆きたい
たまには、本当に悲しくて泣いてみたい
だけど言葉のことを考えずにはいられない哀れな自分を
ああ、彼そういえば、よくこの四つ角で見掛けるんだっけな
美しい角刈りだ
たとえアフロでもドレッドでも「あなた」だったら美しいと思うんだろうか
牛乳買って帰ろう
ねえ、君の為に用意した新しいストーリーだよ
僕がどんなに君を愛しているか知って欲しいんだ
だからきちんと読んで、いつでも忘れないで、思い出して実現させて
幻聴はいつもそんな感じのことを言っている
私は私の人生があの角刈りみたいに美しいものかどうかを
しばらく考えてやめる
君の為に用意した愛しい僕の物語なのか
愛しい君の為に用意した新しいストーリーなのか
ひどく絶望的な気分になる
もうここまででいいよと何度言っても
もう楽しくも嬉しくもなんともないんだと何度言っても
僕は君を愛しているんだよ
と自分に酔っぱらっているあの神を
「あなた」が一緒に笑ってくれればいいのにとカフェラテを片手に思う
結局人と結婚することは出来ないだろうなと思う
あのろくでなしを私も愛しているから
そうっと
白線を踏まないように横断歩道を渡る
人がぶっ飛ぶ時は本当に物みたいに”壊れる”んだぜ
AIは嘘を吐かない、誰にともなくそう思う
「あなた」も誰かを愛することなんて出来ないと諦めていればいいのにな
夕暮れを止めることが出来ないように
朝日を遮ることが出来ないように
私達が流れに逆らうのは無理なんだと悟っていてくれれば楽なのに
神様の描いた絵
私達は結局その通りに
生きなきゃならないんだ
吹けば飛ぶような軽い冗談を言って笑っているほうがいいじゃない
コンビニまで行く恰好で世界の裏側まで出掛けちゃうぐらいのほうが
幸せじゃない

投稿者

神奈川県

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