空白の日
死刑囚に色鉛筆を渡して描かれたような景色が続く
四角く硬い電車は 風を砕きながら走り続け
不健全なまま 健全な街に連れて行ってくれる
円形の食べ物を口の中に押し込み 腹の鳴りを収める
街の中には直線だけで組み立てられたような建造物や
人工的な歯並びが溢れているのに どうしてだろうか
「さよなら、さよなら」と 田舎の生活の音が聞こえる
置いて行かれているのか 置いて行ってしまっているのか
おそらく前者だと思いながらも 後方を気にした
そこは空白で埋め尽くされていて 何度色を塗っても
空白にしかならなくて 色鉛筆の折れる音がしたんだ
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