
愛しき花
君は知らないのだ
僕がどれだけ心配しているのか
今もまた
あんなに高い枝に座って
片方の靴が落ちそうで落ちないのを
面白がっているのだ
僕は不安で堪らないというのに
突然に
枝から飛び下りるものだから
僕は鼓動を跳ね上がらせて
夢中で受け止めたが
君はさっさと僕から離れ
向こうの野原へと行ってしまった
君は平気なのだ
入り乱れた感情を持て余し
僕は怒りさえ覚えているというのに
懸命に
心を落ち着かせている僕を放って
君は足元の花を踏みしめぬよう
爪先立って歩いている
ただ小さき野草に心をはらって
君は気にも留めていない
意気地なく
この場から動けぬ僕を
ふいに
駆け寄ってきた君は
僕の上着のボタン穴に
スミレの花を刺し
用事はこればかりと
また野原へと走り去った
君は知らぬだろうが
これだけで
僕の心は晴れるのだから
嗚呼、
僕の胸に咲く
愛しき花よ
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