ささやき

無人の自転車が
石垣にそって走る
タイヤの跡には
穏やかな歴史があり
それはまた人知れず
しめやかに終わる
日傘を回す手には
いつもそよ風が吹くので
呼吸は影を落としながら
新しい草の葉を揺らしたがる
夏の涼しさの中で
佇んでいると
ブランコの錆びた声に
私は連れていかれ
日々の記号として
附されていく
私は優しい人
ごくまれにそう思う
それで
いいではないか

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