深夜のTVショー

あなたと夜更かしして
テレビを見ていると
深夜のTVショー
という番組が始まり
あなたが出演していた

体当たり企画、と称して
あなたは様々なことに挑戦していく
百人分のカレーライスを食べる
ライオンと同じ檻の中で寝る
灼熱の砂漠に裸で寝転ぶ
こんなこともするんだ
と言うと
まあ、とバツが悪そうに答える

驚いたり痛がったり苦しんだりする度に
録音された笑い声が流される
ただの会社員なのだから
そこまで頑張らなくてもいいのに
と思うけれど
どんなに辛くて危険でも
諦めることなく立ち向かっていく
いつしかわたしは両手を握りしめ
負けるな、負けるな、と呟いている
笑い声は益々大きくなる
うるさい、黙れ、と言いながら
ひたすら応援し続ける

それでは次のチャレンジャーです
司会者に紹介されたわたしが出てくる
こんなこともするんだ
と言うので
まあ、とバツが悪くなって答える

おそらく家の外では
静かに夜が降り積もっている
音も景色もなく
ただ夜だけがしんしんとしている
お互い手を伸ばせば
触れられるところにいるのに
どうしても触れられないものがある
今のこの瞬間、瞬間
世界にはあなたとわたししかいない
テレビから聞こえる笑い声と
頑張れ頑張れ、というあなたの声援
わたしたちしかいない
それで構わない

投稿者

コメント

  1. 愛の思いと言うものは、どこまでいっても、わたしだけのものであるのでしょう、それが悲しいと言うことも、それがどうだと言うことも、世界はすでに、おりこみずみで、あるのでしょう、それではどこで、それでいつになったら、わたしは愛を、あなたにとどけられるのか、それとも 永遠 がそれをじゃましているのか。 スタイル と言うことを、かんがえる 詩 でした。

  2. いいですね。わたしとあなたはお互い一番身近な存在だから、痛がったり苦しんだりしているところは見せられない。体当たり企画並のことは実際には、わたしの世界とあなたの世界、別々のところで日常起こって辛かったりおちゃらけたりして奮闘している。でも見せられないんですよねかっこ悪いし。心配されたくないし。思いやりの詩だと思いました。
    最後は声が遠くなっていくよう。ブラウン管、真空、内と外、張り詰めた夜、しんしんふる雪、イメージが繋がる。

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