オーロラの生命 (3部作)
第1部 太陽と海
ラボは静かだった.
太陽フレアからの荷電粒子が
地磁気に沿って流れ込み
オーロラが漂う.
あの太陽と海はつながっている.
彼女は思った.
もしかすると Wi-Fi みたいに
私たちの脳も
宇宙とつながっているのでは
ないだろうか.
生まれたときから
つながっているから
気づかないだけで.
可視光線は
微細な干渉を引き起こすから
インスピレーションは
静かな夜とか
夢の中で
おりてきたりするのかな.
でも、そんなことを
どうやって測定できるのだろう.
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第2部 生命をつくる結び目
太陽は巨大なエネルギーを送り出す.
まだ大気をまとわない地球は
その光と粒子を海で受け取り,
水の分子は手を取り合い
小さな結び目を作る.
この結び目をきっかけとして
DNAができあがったのかもしれない.
それは微かに揺れながら
生命の青写真を形作る.
彼女は記録する.
水素は最も小さな元素
でも,生命を支える重要な力だと.
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第3部 生命についての問い
生命は,本当に
海の中で生まれたのだろうか.
ラボの夜は静かで暗く,
ノイズが低い.
彼女は耳を澄ませ
目を閉じて思いめぐらせる.
宇宙の水素は漂い
海の結び目に宿り,
私たちの問いに応えることはない.
しかし問いは続く.
生命は必然だったのだろうか.
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註:最初の生命は海で生まれたといわれるが,
それはオーロラの下の北極海かもしれない.
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