小さな火花(3部作)

第1部 カウントダウン

発射台が静かに唸る
光が小さな星のように瞬く.

宇宙スーツが私の体にぴったり沿う
ミヌエットのひげはピクピク動き
空気の振動を感じて
跳ぶ時が近いことを知る.

五….
四….
三….

胸が高鳴り
息を止める
世界はその時をまっている.

第2部 離陸

炎が朝の空に輝く
私たちは家々の屋根の上へ
川や雲の上へと舞い上がる.

街は下に小さく見え
ミヌエットの小さな足音も消える.

ともに空を飛ぶ—
命と勇気と本能が
光のリボンに包まれている.

第3部 星の間からの帰還

星がガラス越しに輝き
惑星がゆっくり回る.

ミヌエットはくるくる回り
しっぽが空に線を描く
私は手を伸ばして
そっとミヌエットをつかまえる.

地球はゆっくり回り
fragileな世界.

光のリボンがほどけて
地球が近づく.

懐かしい部屋に戻り
私たちはソファで寄り添う.

星がまたたく.



註:シュレーディンガーの猫のオマージュ,
光のリボンは未来の光子エンジン
量子力学をようやく理解できた人間は,それを実用化した.
量子コンピュータの最大の功績のひとつは,
人間とネコはふつうに意思疎通できるようになったことである.
ネコは人間が失った野生と本能でさまざまなものを敏感にとらえるので
光子ロケットの安定的な航行には欠かせない.

最近,日本のロケットの打ち上げは立て続けに失敗しているのは何故か?
それは、種子島宇宙センターあたりに住み着いていたネコのたまが死んだからである.

だれかネコを可愛がっている人がいると,
大体,そのプロジェクトは成功する.
だが,ネコがいなくなると…失敗がふえる.

昔から,日本人はそのことにうすうす気づいていた.
だから,「招き猫」というものがあるのだ.



もともとは信頼していたはずの
あらゆるものが自分のなかで壊れてしまい,
喪失感がぬぐえない



ベネズエラが爆撃された.
このことが起こる以前から,
トランプ大統領について語るとき
コメンテーターは笑顔をかくせない

ロシアも非難はしているものの
本心はたぶん喜んでいるように見える.

「そう,こんなふうに大胆不敵で,
タフでワイルドなスタイルこそ我々の本能ではないのか.
人間らしい生き方と尊厳を取り戻せ.」



ある日世界が滅亡した


少女と1匹のネコだけが生き残って
ロケットと量子コンピュータだけがある.
帰る家は仮住まい
行くべき星はどれだろうか.

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