始業

無機質に並ぶ事務机
 
薄暗い事務室に
朝の光が細く差し
灯した照明が冷たく照らす
 
黙々と準備するこの時間は
真新しい日記を開くようで
冷えた空気に
思考を乗せる
 
ガタンと
扉が開いて
同僚が入ってくる
ひとことのあいさつ
静かな事務室は
少し温まり
 
あの人のコーヒーの香り
 
始業が近づくにつれ
扉は何度も開き
にぎやかさを増す
 
彼方此方でモニターにロゴが浮かび
行き交う足音
呻く椅子の音
 
カチリと
時計の針が進み
始業の鐘の音が響く
 
唇を湿らせ
マウスに手を置く
今日も混沌の時間の
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投稿者

愛知県

コメント

  1. 始業前の無機質な時間に
    徐々に色がついていくような感じがしました。
    始業時の背を伸ばしたような引き締まった空気感が
    心地好く伝わってきました。

  2. 朝の中で
    徐々にスピード感をあげていくような
    空間のウォーミングアップと
    あの独特な毎日の緊張感が感じ取られました。

  3. @nonya さん、コメントありがとうございます。
    始業時のだんだん人が増えていく感じが好きなんです^^
    午後も4時過ぎになるとグダグダになってますが…

  4. @kフウ さん、コメントありがとうございます。
    そうですね、頭のウォーミングアップですね。空気感が伝わってうれしいです^^

  5. こんにちは。コメントを失礼いたします。
    叙景から始まって叙情が入っていく、風景と心情がグラデーションの様に
    なっていく表現はとても鮮やかでした。
    写し書きをさせていただいて私個人としては、

      あの人のコーヒーの香り

    の空行を効かせた一行一連が、特に気になりました。私だとつい何かここに
    具体性を持たせてしまうでしょう。
    その場にいるような味わいのある素敵な作品です。

  6. @リリー さん、コメントありがとうございます。
    コーヒーの一行は、「あの人」との距離感に思いを巡らしてほしかったので、空想する余地を大きく取りました。
    味わいのある作品と言っていただけてうれしいです^^

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