なんでまだ「ツパイ」おるねん?

書き散らかすって,たぶん人間にしかできない行為であると同時に
本能に根差していて突き動かされる感じが
動物的だと思う



「散らかす」のって,もともと気持ちいいですよね

おもちゃでもなんでも
もともと私たちはみんな
「散らかしっぱなし」が好きなはず




なぜ散らかすのか?
りっぱな人なのに,なぜ部屋は散らかっているのか?




それは人間がまだサルの一種だったころの名残かな
ネコは糞をしたあとに砂をかけるが,
イヌはそれをしない

人間はもともとはサルの一種で
川でも草むらでも空き地のすみでも
適当なところに糞を垂れ流して
その場を立ち去っていたのだが
その時代からネコはちゃんと
糞をしたら砂をかけていた



今でこそ文明化されているが
人間はもともとはまるで別の種類のような生き物
どこでスイッチがはいったのか
なぜスイッチがはいったのか?



「最初は,みんな「ツパイ」だったんですよね?」



「ツパイ」ってほぼドブネズミじゃないですか.
なんであれが頭よくなって,そして人間になりますか?


「ないと思います.」



あのドブネズミが進化して人間になれるなら,
今頃,他の動物もみんな賢くなって…



「あ,もしかして,賢くなった動物って,みんな地球から出て行ったんですかね?」



もう3万年くらい前に,動物たちは
えんえんと縄文時代を過ごしていて,いっこうに賢くならない人間をみて
「やればできる子やと思うんやけどなー,あんたら,もうすぐ地球滅亡するんやで.
まだ答えわからへんのかいな?もう置いていくわ.
時間だけ巻き戻しといたるから,あとは自分らでなんとかしいや.」



中南米でパラパラと見つかるオーパーツはその痕跡である.
進化して,とっくに賢くなっていた動物たちは,「乗り物ぽい箱」に入りどこかへと移っていった.
ホタルだけは,あの世(また別のどこか)に向かって,自分で飛んで行った.
彼らが独自に開発した光子エンジンによって



しかし,人間(当時は,縄文時代)は,昔から思っていた.
「まだ,本気出してないだけや.
俺らもやったらできるねん.」



「じゃ,いつやるのか?!」
当時はまだツパイだったハヤシ先生は教えてくれた.
「今でしょ.」



縄文時代は終わり,ようやく弥生時代が始まった.



地球に置いてきた人間のようすを見に来てくれた,やさしい動物たち
「おい,なんでまだツパイおるねん.だいぶ年代ちゃうやんか?」



「あ,ごめん,ちょっとミスったわ.
時空,修正するからちょっと待っといて.」



21世紀の東京になった.

動物たちは,動物のふりをして,人間が賢くなるのを見守っている.
サカナはときどき,マイクロプラスチックをもってきて
「あんたら海が汚れてきてるで」
と教えてくれる.
カモメは,アミとかにからまってイライラしている.
「ほんまに,あんたらちゃんと片付けや.
いつまでたっても賢くならへんな.
こんなんやったら,地球が滅亡する前に脱出でけへん.
その前に終わってしまうわ.
あんたら地球に置いて,また私らだけでいってしまうで.
滅亡の日まで,あと100年くらいやろか.」




「いや,もう明日やねん.」

なんや,もう詰んでるやんか…
知らんかったほうがよかったな



すると,動物が

「ほんならひとつヒント言うといたるけど,脱出いうても,宇宙へ行くんとちゃうで.
そんなん行けるわけないやんか,遠いのに.
それになんぼ探しても,地球みたいな星は一つもないんや.
不都合な真実いうんかな.昔から人間は,目に見えるもんでしか考えへんからあかんねん.
それから,あんたら知らんけど,私らみんなちょっと先の未来までは見えてるねんで.」



「せやから,宇宙やのうて,別次元に逃げるんやんか.ロケットとかはいらん.
せやけど,それは,自分で答えを見つけんと行かれへんねん.
他の動物が教えたらあかんことになってんねん.
答えだけきいても意味ないのんは,学校の勉強と一緒やな?
明日が滅亡の日やからもう時間ないで.」



しかし人間の耳には,
ネコが「(お腹がすいたからエサをくれ)にゃー」と
啼いているようにしか聞こえない.実は,
「にゃー」はただの語尾で,その前にいっぱいしゃべってるのに
人間の耳は反応が遅いから,「にゃー」しか聞き取れない.
「(ココから→)「にゃー」って,そんなんだけしか言われへんかったら
ネコ同士でも,つきあったりでけへんやろ?
その「にゃー」の前にいつもいっぱい言葉があるねんで.0.1秒くらいに情報圧縮してるけど.
ま,英語でも何年勉強しても聞き取られへんあんたらの耳やったら,私らがニャーの前にいつも一瞬,なんか言うてるよな,って
永遠に気づかへんやろう(←ココまでが,0.1秒)にゃー.知らんけどにゃ.」
関西のネコは辛辣である.
そして,ネコが見ているという,少し先の未来も,人間には見えていない.

ネコがいつも人間のそばにいて,もう何万年も
必死に伝えたいことを何一つ理解できないで.



ネコは少し先の未来を見ている.
飼い主が,出かけるときには,少し前にわかるから
身を寄せてくるし,
飼い主が帰宅する頃には,ドアが開く前に玄関で待っている.
飼い主はそのたびに,少し驚いたような嬉しそうな顔をする.



ぼくたちの現在と少し先の未来は重なり合っている.
残された時間がわずかでも.
Unlike the story of Noah’s Ark, it is humanity that has been left behind.
Not every door has closed.




(終 幕)




ホタルが光るのって,不思議だったんですよねー.
あれ,進化したら推進力になるんだ.
光子力エンジン,完成させてほしい.

そんなことは不可能だと誰もが笑った.
しかし彼らは,何万回,何百万世代と
とほうもなく試行錯誤を繰り返し,
成し遂げた.

光子力エンジンを点火して,
ホタルは黄泉の国へと旅立った.

この地球からの卒業.

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