赤城神社、裏

赤城神社、裏

少し雨が降っている
ぬるい感触にとまどった。

鳥居をくぐる
金木犀の香りが残っている
神社の社殿は
建て替えられていた
社の裏から見える景色だけ
昔と変わらない。

急な石段を下りてみる
早稲田へ続く路地
再び石段を上がりかけたところで
熟年の男女とすれ違った
女性の表情にふと目がいった。

ひとりの詩友を思い出していた
彼女の
癖のある短い叙情詩を。

雨が本降りになってくる
おもむろに傘をさした。

投稿者

東京都

コメント

  1. 余韻の残る終わり方が良いですね。

  2. 雨の日の彷徨、目に映る町の匂いがたちます。余韻いいです。

  3. たかぼさん
    久し振りに赤城神社を再訪しました。新宿区の神楽坂にあります。坂の町ですね。

  4. 王殺しさん 
    散策詩は、好きで、よく書きます。街をテーマにした詩ですね。以前、この神社のすぐ近くにある会館で詩の合評研究会があり、毎月一度、神楽坂に来ていました。その時の思い出を絡めて書いてみました。

  5. 長谷川さんのこのテイストのやつ、好きだわぁ。
    詩で完結しているような、小説の始まりのような感じが良いですね。

  6. とてもきれいで、湿り気が艶めいています。

  7. あぶくもさん
    詩で完結、小説の始まり。…なるほど! そうかもしれません。この先に、ドラマがあるのかもしれませんね。

  8. たちばなまこと/mさん
    雨風景は、好きです。湿り気、潤んでいくような感じがあります。街中も、柔らかくなりますね。

  9. すごく素敵です。香りと雨の音と、すれ違う感触やら寒さやらまで、
    伝わってくるものが具体的で、研ぎ澄まされています。
    詩のような物語が大好きなので、続きが気になりました。

  10. ザイチさん
    香りと、雨の音、感じてくださり嬉しく思います。…やはり、この先に物語があるのかな。続編を、ちょっと考えています。

  11. なにげない、密かな対話が聴こえるような。 

  12. 服部剛さん
    詩を書くようになって、ずいぶん経ちます。たくさんの詩人諸氏との出会いがありました。

コメントするためには、 ログイン してください。