トイレトレーニング

 わかい母の呼びかけに
 首をふり庭を小走る女の子
 眩しい青芝で浮きねの鳥になっている
 コハクチョウ

 縁側にそろって顔をだす
 祖父母からも宥められ
 便意を我慢してしまうクセのついた子が
 コハクチョウの背に跨ってみる
 浣腸されて気張って出した
 数十個もの鹿の糞

 ちゃんとお通じがあれば
 祖母からご褒美をもらうようになって
 サイコロ型で紅白の箱に入った
 大粒のミルクキャラメル
 共働きの母は困ってしまう
 お菓子を食べたがるクセのついた子の
 乳歯は奥歯が溶けてしまった話
 腸活に励むそんな年になっても覚えている
 
 還暦を過ぎて独り身のまま
 「老いることが不安だから」と
 知り合いの男性は婚活を続けている
 わたしもどんな老境に入るか
 わからないけれど
 介助を受けながらでも自立排泄が出来れば
 何よりのよろこびだろう

 この先いつかベッド傍に
 ポータブルトイレが寄り添う事になっても
 ソレを遥かな時を超えて現れた
 私のコハクチョウの化身だと思いたい

 

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 幼い女の子の便意から転じて、年老いてのお通じに想いを馳せる。…人にとって避けて通れないことです。身につまされながら読みました。最終連目、いいですね。

  2. @長谷川 忍
    様 

     お読みいただきましてコメントもくださり嬉しいです。どうもありがとうございます。
     この作品は、読み手によって不快な印象をあたえてしまうようで。他にも読んでくだ
     さった方からの厳しい批判も受けております。
     
     「あまり表に出さない方がよく、直接言うのを避けられる傾向のあるシモ「便」の
      問題は、センシティブな問題で人それぞれ当面する問題として、あるいは場当たり
      的に解決していく場合も多い。詩の題材として不適切というのではなくとも。一般
      的に尾籠なことと思われるシモ「便」の扱いに関して、あまりに生々しくあまりに
      露骨ではないのか。内容の展開も唐突でわかりにくい。」

     書き手としては、詩作品としての未熟さを実感しながらも。とても大切なテーマだと
     感じ書いてみたのですが……。長谷川様からのご感想のお言葉、嬉しかったです。

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