十字架

チンアナゴの十字架の林で
鬼ごっこをした
僕が君を捕まえても
君の影は
君の片足だった

十六歳で羞恥のために消えた
女の墓標は
誰にも読まれず朽ちる
そして夜は明け 
闇がまた来る

彼が磔けられた丘は
微光に満ちていたのか
西風が強かったのか

もう家に帰る時間だ
門扉に差さった夕刊を手に
相撲中継が流れる無人の部屋に

十字架を数えてはいけない
数えるたびに一本づつ増える
それが君でないなら
僕のだ

投稿者

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。