ある夏の日

梅雨が明けた
夏の
青空に入道雲が
わくわくとしている。
空気の匂いが
夏を知らせる
夏を歌う私の魂
とくんとくんとくんと……
脈打つ

どこかで今
雨は降っている。私の
悲しみは今
愛に帰った
悲しみは再び私の
こころへ旅に出る
けれど最後にはやはり
悲しみは愛に帰るのよ
と私の小鬼は光る風にささやく

「全ては愛から生まれた」という
青空の声を聴いて
小鬼は黙礼する。
……くんとくんとくんとくんと
悲しみはそして、
沈黙した青空と共に人知れず
ほほ笑む
林の陰の小径へすぅと
鬼やんまは 消えていった

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コメント

  1. 匂いと入道雲が
    イメージを掻き立てます

    冬の夏

  2. 那津さんへ ああ、そのところから それらをイメージしてくれまして、ありがたく思います。ありがとうございます。
    ふふ、まあ、こちら雪国の冬には夏が恋しくなりますので、冬に夏の詩を書きました。まあですね。

  3. 寒い季節に読むからこそ、ちょっとした郷愁みたいなものを感じさせられて良いですね。

  4. トノモトさんへ ふふ、正直に言えば、これを書いたのはここ雪国からの一種の現実逃避です。
    でも、トノモトさんがそう言ってくれて、この詩も私も助かります。
    ああ、冬に夏の話。
    でも、私の場合、言いたいことを詩で言うようにしているし、言いたいことを今の内(生きている内)に言いたかったのでした。ふふ。
    なので、トノモトさんやぽえ会の皆様に読んで頂いて、ありがたいです。^^

  5. 今日はとても乾いた寒い日ですが、ひととき夏を纏うことが出来ました。

  6. 季節感、人の醸す情感、そういうものに敏感でありたい。このお作品を読み、あらためて思いました。小鬼に独特の存在感がありますね。

  7. たちばなさんへ ああ、冬に夏のものをどうかな?とは思っていましたが、たちばなさんに そう言ってもらえて良かったです。ありがたい。
    読んでくれたりして、ご感想まで頂き、ありがとうございます。うれしい。

  8. 長谷川さんへ 季節感や情感、空気感というか、長谷川さんの言ってくれた感覚に感じる人や物事に敏感でありたいというのは、ある意味、繊細な感覚を要しますよね。それは神経質になるということではなく、もっとこう生きる上で必要な感覚なのでしょうね。
    長谷川さんの言うそれはすてきなことだと思います。
    長谷川さんがこの詩を読んで そういうふうに思ってくれて、この詩を書いた私にとって貴重に思います。ありがとうございます。
    ふふ、小鬼の存在感をすてきに捉えてくれて、うれしいです。

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