
草原と二人
空を見上げながら
歩いていたならば
私はきっと
草の間に寝転がっていた
その人に蹴躓いていたでしょう
うつむいていたから気付いたのです
見上げる空は晴天というのに
ふいに影がさしたので
僕はやっと
その人に気が付いて
弾かれたように飛び起きた
草原は孤独であるはずなのだが
その人は座り込んだまま
射抜くような目で私を見上げ
空の観察を邪魔したことを
非難しているのです
その人は遠慮がちに
こちらを見下ろしているが
僕は言葉も出てこない
これはとんだ不意打ち
邪魔したことへの
私の言い訳は風に流され
彼には聞こえなかったのでしょう
攻めるような眼差しの前から
私は立ち去ることにしました
折からの風に
草原がさざなみ立ったことで
ようやく我に返った僕は
ひとつ瞬いて
立ち去ろうとする彼女に
やっと挨拶の言葉を掛けた
きれいな空ですよ
彼の声に誘われて
何気なく見上げた先の
無限のような大空に
私は改めて出会った気がしました
見果てぬ空に
彼女は眼を凝らす
僕たちの頭上には
無限が広がっていると
今初めて気が付いたように
見れども飽かぬ天上より
二人の前を
次々に吹き降りるは
懐かしくも
新しい風
コメント