昨夜の交合い

「ーーーーーーーーーー」

だって、さ。
嫌いじゃないもの、殺し文句。
ナイフは急所の傍にあって、
サヨナラすら言わせずに。

柔らかな声が耳に残る。
少し好きな、かさついた唇。
毒のような、重低音。
声を聞きたくて、
私はいつもより無口だった。

困ったように笑う顔。
目尻に、シワが寄って。
満足気……。

でも、私のナイフはもっと深く。
喉元に残した噛み跡を、
記憶の奥に刺したはず。

少し好きだった熱帯夜。
天然水のペッドポトルを、
くたびれた座席に忘れたままに。

サヨナラの夜に欠け落ちて、
毒のように寂しさに埋って、
麻痺した身体だけが、最後の贈り物かしら。

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