鏡と霧のあいだ

誰も見ていない月は
それでも光るのだろう
倒れる木は
森の沈黙に溶けるのだろうか
あなたの眼差しが
私を縁取る
その輪郭が 「私」と呼ばれるものの
はじまり

あなたが曇れば
私は霧になる
あなたが離れれば
私は光の粒子に還る
散らばって
名前を失って
それでも—— その脆さのなかに
かけがえのない何かが宿る

私たちは互いに
互いを映す鏡
あなたの言葉に震えるとき
あなたもまた
知らなかった自分に
触れている
存在とは
見つめ合うことの
別名なのかもしれない

14時52分
この光の角度
この沈黙の温度
二度と来ない

銀色の糸が
空気の中に張られて
あなたと私をつないでいる
それがいつか
ほどけるとしても

ここで
織られたことは 消えはしない
ね。

投稿者

静岡県

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。