チェリスト
晩冬。風は無い。
黙る部屋で。暗闇にひとり
目を凝らしていると
さやかにもきこえだす、
世界の低音 を
取り零すまいと
きいている自分。
きいている自分。
きいている自分。
きいている自分。
家と家と家と家と家と家と。
金柑の樹と梅の樹とあと知らない樹と。
乾いた夜空と乾いたどぶと乾いた土くれが。
冬闇の震える細い指揮棒に。
黙りこくったまま
割れんばかりの大合唱を歌っており、
それをひたすらに
眼をガン開いてひたすらに
きいている自分、
自分、
自分。
音がなっている。
なっている音。
世界の中で。
それはどこでなっている?
どこで。どこでなっている。
それはワたshiの中でなっているのだ。
なっている音、
かすかなる合唱、
waタしの中で。
そして、それを、
天の両の眼球の。
硬く編まれた筋肉で。
しかとしかと握り込んで。
寸分たりとも逃さないように。
きいて
きいて
いる自分。
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