ドラえもんの来ない世界でのび太を叫ぶ
おれたちはドラえもんについて無知ではない
主人公はのび太である
のび太はジャイアン-おまえのものは
おれのもの、おれのものもおれのものを標榜して憚らない-に搾取と
脅迫を受け、多くの場合、ジャイアンは克服すべき課題として提示される
主人公であるのび太の視点を所与とする日本人には現在の
核保有国はジャイアンと重なる
この秩序において日本は北朝鮮以下の序列にある
ペロポネソス戦争でアテネはスパルタに敗れる
ドラえもんは50年以上前から始まった日本語の漫画でアニメは現在も続く
その影響は、大半の日本人の成育歴から排除できるとは思えない
老婆心ながら忠告するおれはのび太ではない
、スネ夫である
金持ちの家に生まれてうまく立ちまわらなければ
のび太のようにはドラえもんに守ってもらえない存在として
ジャイアンは現実に存在している本物の世界で
ジャイアンを否定し、スネ夫にもなり切れないとしたら、
のび太はたまの長編映画で感動的な自己犠牲を示すしか
世界は漫画のようではなく
名もなきモブからすればのび太だってジャイアンの一味だ
カースト上位の内輪揉めに過ぎないようだ
弱肉強食は虚構である
それは仕方なく演じる役割だ
世界は退屈で分かりにくいから
意志を保つために刺激を欲している
食物連鎖に頂点なんてないんだから
関係は円環を結ぶ
殴り返すために握るこぶし
握手しよう、接近戦だ
おれには目を見開いたまま眠る癖がある
部屋の天井がなければおれの瞳孔にはいつだって青空を流れる白い雲が映っている
目を覚ましたら、目尻からこめかみにかけて流れた涙が乾いて薄い被膜をつくっている
おれには眠っているときに泣く癖もあるようだ
流れた塩の痕跡を掌でこすり落としながら身体を起こす
「おはよう」
空っぽの押し入れに向かって言う
しずかちゃんと出木杉くんがフィンランドかオランダあたりでよろしくやっている
コメント
久しぶりにゼッケンさんの詩を読めて幸せです。
読ませますねぇ
相変わらず、力のある文章!
流石です(^o^)
神のいない空席にドラちゃん座って欲しいのかなぁ と