接合空間と春

春の幻が
うかんでいます

地球と宇宙とを 結ぶ
無数の対角線により樹成される
(四次元空間に於けるお話です)
束ねた黒髪のようにぶ厚い集合の
なかの
或る切断面
そのどこかに
春の幻はひそんでおります
(静かに浮いております)

そして、そこで
春の幻はひそかに
全ての動物の夢を犯しております

覗いてみてください。
わたくしの所有するところの
(ただひとつ)
唯一の生命が
絶えず歩いている
太陽の業火に殉死していくための道が
(生と火と死の道です)
(金属質のゴム塊です)
矮星から吹き出す
生温い風力により
あはれに
あはれに 
斯の形而上学的な物理断面へと
じつにあはれに引き逢わされて
其れと見事に性交するところ
その一点を
貴方、覗いてみてください。
(あなたのより罪悪だと思う方の片目で)

そこには、ひとつの風景が広がります
奇妙に静かな四月の丘です
辺りには草花がいきれておりますし
空には雲の類が存在しておりません
極く かすかに 
幽鬼のけはいがするのを 除いては
至極閑かで
(美しい水温をたたえて)
景色は殖物に満ちて平ららかです

まことにそれは、
私の抒べるところの
春の幻。 
宇宙の果ての山巓で
ぼんやり光って
うかんでおります

全動物の春眠を
哀しく犯しながら。

投稿者

千葉県

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