ステップ

事務室の扉が開き
梅の香りに
丸くなった風が
転がり込む
 
「あと何日」

カレンダーを数えて
座るあなたがいる
 
軽快な仕草で
あなたは引き出しを空にして
 
見送る私たちのなかで
あなたの形の隙間は
輪郭を際立たせ
 
私たちという言葉では
混ざりあわない時間に
エゴと見栄を
塗り重ねて
見送る視線は
描き終わった絵皿の惨状
 
梢の先で
桜のつぼみは
膨らみを急いで
 
また一日
 
影を増した事務室に
動きを失った机の列を
残して
 
灯りを落とす

投稿者

愛知県

コメント

  1. 異動や退職へのうごきを
    事務室という額縁の中で
    いちまいの絵のように淡々とおさめていく、そんな場景を感じました。

  2. 新たな次のステップ。その辺の描写が、うまく織り成されていますね。

  3. @kフウ さん、コメントありがとうございます。
    退職、異動。寂しさとも悲しみとも違う場面を切り取ってみました。きっと素直には祝えないなぁという自分を感じながら。

  4. @こしごえ さん、コメントありがとうございます。
    異動していく人、異動してくる人。自分かもしれず、自分ではないかもしれず。ドキドキする季節が来ました。

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