時越ゆる誓ひ
詞書
時の移ろひは、露の世のならひにこそあれ、
ひとたび心に結びし契りは、
霜の夜の月影のごとく、
かすかに残りて、世を経るとも消えがたし。
いにしへの声は風にまじりてふと聞こえ、
面影は夢路をたどりて、
おのづから立ち返るものなり。
これらは皆、
深き心のしるしとぞ思ほゆ。
導入詩
時の岸
こえ来る契り
たまゆらに
霜おく庭の
道あらはれぬ
序歌
秋の夜の
霜おく庭の
風しづか
月のかげより
道や見ゆらむ
本歌
霜の階
月影さえて
古き殿
風のかそけく
魂さそへり
かの昔
契りし心
消えずして
はるけき世々を
たださまよへり
ひとたびの
思ひの糸は
絶えねども
千代のかなたに
かかるばかりぞ
灯の影
ゆらぐ夜半には
夢路より
君が面影
ふとぞ立ちぬる
香の跡
ほのかに残る
袖の端
宿世とならば
海も浅けむ
もしもまた
願ひの底に
道あらば
この世の果てを
君と行かまし
かくてまた
霜の階踏み
月を見て
昔の契り
声に聞きつつ
反歌
霜の夜に
君を思へば
月さえて
古き契りの
影ぞかがやく
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