感想文的自由なコラムPOECOLポエコラ #007

たかぼ

いまさらに詩人会の復活をことほぐ

#007|2022.03.23

入沢康夫はかつて詩について「言葉は会話や手紙では伝達の手段として用いられるが、詩では発する者と受け取る者、そして状況の三者の関係から切り離されて出現する」と述べている。つまり詩は作者から読者へ感情や印象を伝達する手段ではない、ということだ。これはいわゆる叙情詩を否定するものではない。ただ「いかにも作者の感懐が書かれているように見える詩でも作品中の私と作者との間には断絶があることを知るべきである」と言う。(2003年ぽえマガ11月号に私が寄稿した文から抜粋)

こんにちは。旧日本WEB詩人会(通称ぽえ会)会員ナンバー260番のたかぼです。私がぽえ会に参加したのは2001年末の頃のようです。20年前ということになります(もう20年!? 赤ん坊が成人になる年月ではないか)。

ぽえ会などへの投稿に夢中になった私は2003年5月に自分のサイト「Arty-Crafty TAKABO http://takabo2001.web.fc2.com/index2.html 」を立ち上げて、そこでネット詩人さんたちの投稿を受け付けたりもしました。そのページはまだ残っていますので覚えがある方はチェックしてみては如何でしょう(目次のGuestより)。

その頃はネット詩がブームになり、いくつもの有名な投稿サイトがありました。「現代詩フォーラム」や「QBOOKS」などはその頃とほとんど変わらない姿で残っていますね。凄いですね。そういったサイトに私も何度か投稿していました。「ウエブ女性詩人の集い 蘭の会」の「まな板の上にコイ!」というコーナーは特に好きでした。男性が投稿しそれに対してメンバーの女性詩人たちが濃い協議をして投票を行うという、男性冥利に尽きるものでしたので。

詩論を戦わせるような重いサイトもありましたが、その対極に位置したのがぽえ会でした。居心地がよかったです。年甲斐もなく当然最年長でオフ会に参加したこともあります。サイトが閉鎖されてからは再開を望む声が絶えることはありませんでした。ですから日本WEB詩人会が復活したのはとても嬉しいことです。しかもスタイリッシュなサイトになりましたね! 投稿もしやすくて、綺麗にアップされるので投稿するのが楽しみになります。制作された皆さんのご苦労を想います。

ぽえ会の良いところは簡潔だけど温かみのあるコメントが貰えるところでした。ですから復活した詩人会でもなるべくコメントをするように心がけています。でも感想を書くのは詩を書くよりも難しいものです。詩は自分の思いだけで書けますが、感想は他者の作品に寄り添う気持ちが必要だからです。たとえ一言だけのコメントであったとしても、それが書かれた時間はまぎれもなく作者に捧げられた貴重な時間だと思うのです。

さて私は現代美術が好きなのですが、現代詩と現代美術の境界は曖昧だと思っています。そんな私が日本WEB詩人会に今までに投稿された作品の中で、特に記憶に残った作品を挙げたいと思います。

★いまり「結婚式」(退会?)2021.9.25
ポエコラ#001で服部剛さんも挙げておられました。最優秀作品賞を捧げたいです。でも退会されてしまった? ようで、もう読むことができません。もしいまりさんがこの記事を見られたならもう一度読むチャンスを私に頂けませんか?

★トノモトショウ「深緑」2021.11.26、「優しさの果てに」2022.2.11
トノモトショウさんは旧日本WEB詩人会の早い頃からの幹部メンバーで、彼の主宰する「Fack the People」という表現結社に私も参加し、著名なWEB詩人ヨケマキルさんとともに3人で「Parallel SEED」という本を制作したこともある間柄です。復活した詩人会では、100人の詩人から提供されたタイトルを元に詩を書いていくという苦行のような企画を再開し毎週金曜日に投稿しておられます。事程左様に詩に対してストイックで私から見れば求道者のようです。どんなタイプの詩も書けてしまいますが、最も特徴的なものは技巧的でトリッキーな詩です。しかし叙情的な散文詩も得意とされます。今回挙げた2編は後者に属するもので深い感動を得ました。

★西園寺リル「シンクロナイズ」2022.1.8
西園寺リルさんの作品には毎回驚かされます。内容が濃く、しばしば文字数も多い大作です。一筋縄ではいかない独創的なものが多いですね。この作品はポエコラ#006で長谷川忍さんも取り上げておられましたね。共感を呼ぶ深いテーマが、理解しやすい映像的表現で描かれていました。構成も独創的でリルさんの作品の中でも傑作の一つではないかと思いました。

たかぼ プロフィール

単に平凡なカリスマ医師。その裏の顔が詩人たかぼであることは秘密にされていたが、2021年2月、妻が表紙絵を担当した詩と短編小説の作品集「哀しみの午後の為のヘブンズ・ブルー(幻冬舎刊)」を実名で上梓したことで周りの人々の知るところとなってしまう。「先生読みましたよ」「先生サインしてください」などと言われてまんざらでもない。ただし超愛妻家であること以外に利点はない。

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