手放された

肌に朝焼けの始まりを埋め込む
わすれないように
わすれないように

だれよりもやさしく
だれよりも強く
だれよりも愛情深いひとに
なりたかっただけなんだよ

きれいでないことは知っているの
(それを知った(あなたを))
春の木漏れ日のような暖かさで
つつみ込みたかった
それだけなんだよ

強さだけじゃ、愛せない
やさしさだけじゃ、守れない
だから
どうしようもなく弱くなって
何もしなくていいよって言われたい
それでも愛してるよって言われたい

ただ強く抱きしめられたい

 +

長靴も自分で履けない女の子が
手放された手をできるだけ遠くに伸ばして
空を切る

だれよりも泣いて
だれよりも甘えて
だれよりも幸せそうにしている

服の裾を握って
置いてかないでって
ついていこうとして転ぶ

愛だけじゃ、救われないでしょ
夢だけじゃ、生きていけないでしょ
だからここにおいでよ
わたしの胸に顔をうずめたらいいよ
どうしようもなく狡くって
息をするだけで気持ちいいような
そんな夜だったね

それでもただ
強くつよく抱きしめられたいんだよ

 +

あなたがなにをしていようが
どうでもいいの
接点は冬が嫌いなことだけ

明るみになる汚さを
ただ眺めて
ひとしきり考えたフリをしたら
抱きしめて
抱きしめて
抱きしめて
振りほどこうとすればするほど
強くつよく抱きしめて
泣かしてやるだけ

そしてまた、いつも通り生きていくだけ
 
 
 
 
 
 
 
 
 

投稿者

大阪府

コメント

  1. 手放された、と題されたこの詩は、三部構成になっいますね。それが、ここでは、成功しているように、私には思えます。

    手放された というこの詩には、全体的に、大切な悲しみに満ちているように感じます。私の好きな 大切な悲しみです。それらの悲しみと、もしかしたら、希望や優しさなどが、バランスよく味付けされている コース料理になっていると思います。

    この詩は、すてきな詩です。

    ナツコさん、お久しぶりです。拝礼^^

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