悪魔
「優しいよね」
そう言われる度に、少し苦しくなる。
本当に優しい人間なら、
こんなにも誰かを泣かせたりしない気がしていた。
離れた方がいいと分かっているのに、
最後まで突き放せない。
大丈夫?と聞いてしまう。
眠れてる?と気にしてしまう。
もう戻れないと伝えたくせに、
傷ついてる顔を見ると、また手を伸ばしてしまう。
その手が、
救いなのか、
呪いなのかも分からないまま。
誰かの特別になれるのは嬉しかった。
必要とされるのも、少しだけ心地よかった。
だからきっと、
私は聖人なんかじゃない。
優しさの顔をした、
ただの悪魔だ。
それでも今日も、
誰かが笑ってくれるなら、
また優しい言葉を選んでしまう。
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