そこは砂漠だった
ひっそりと
砂漠だった
ただ単に
何もない

蛍、入れておいたわよ

蛍、入れておいてくれたんだね
そうか、もうすぐ雨季が始まるから
いつも忘れそうになるから
入れておいてくれたんだ
誰の声だろう
たぶん、母のような人
ずっと母のようで
傍にもいない人

列車が入構する
わたしが乗車すると列車は
わたしだけを置き去りにして
出発してしまう
そんなふうにして
多分そんなふうに

蛍、入れておいたわよ

そこは砂漠だった
嘘だよ
本当は
砂の一粒すらない
けれどどこか温かくて
守られている

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