硝子坂這う蝸牛とは

夢の浮橋を静々と歩んで
待ち合わせ場所に到着する

入水を引き留められて
そのまま見知らぬひとの
紅い高級車に乗せられるまま
希望の山へと向かって行く

世界はまだある望みは捨てない
金糸を纏って出家しても良い
と感じながら車に揺られ
多幸感の只中という名の地に
降ろされて掘削機を渡されて
人をうずめる為に穴を掘った

真昼に穴を掘っている
穴というものは昼なのに真っ暗
真っ黒な空間を眼球で触れていく

黒く塗られた心象
夢中になって穴を掘った

音が聞こえる水の音が
微かに聴こえる

そうこうするうち
何か他の色まで見えて来て
水瑠璃の中に居るのかもしれない
一体誰をうずめようとしているのだろう

水衣にくるまれた亡骸は何処に
腐敗の匂いだけが漂っている

臭い
無心に掘削し続ける
臭い

もう忘れよう穴を掘ろう
世界はまだある希望は生きてる

ほら見てよ
ともだちが居るよ

深みにはまった
ともだちが居る
助けてくれるなと
手旗信号送ってくる

紅い高級車のひとは
黒い霊柩車に乗り換えて
阿保な御経を唱えてる

ともだちよ恋人よ
苦しむ世界をくぐり抜け
荒れる子供達の多い
学童保育の硝子窓割れて
硝子散乱する中

その硝子坂を粘り切って
蝸牛這っても
未だ一日終わらない
絞り出した夢の汗じとり

投稿者

愛知県

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