美しい
夕日を見ながら私が紙になると
妻が薄い私の身体を
一枚一枚
シュレッダーにかけていく
紙はシュレッダーするものよ
と妻は震える手で淡々と私を
回転する歯の方に押し込んでいく
細断された紙片は風に乗り
どこかに運ばれ
そのどこかでもっと小さな
繊維や粒みたいなものになるのだろう
これが君と見る最後の夕日か
そう思うと紙のように
思い出までもが薄くなって
視力も嗅覚も透明になっていく
最後に君の首筋の匂いを嗅ぎたかったな
それは言葉になったのだろうか
私は私がいなくなった後の
夕日と妻のシルエットを想像する
美しい
コメント
持ち主を失っても、物は残っていくのに、生命は儚いものですね。
存在するってことがよく分からなくなってきます。