きみの柔らかさについて
名無月は騒がしくて
ゆらゆれて煌めいて
汚物に色めくアスファルトにて
虹猫のザラついた舌先の角度で
謎めき逆巻く突風を読み返して
まるで継ぎ目のような路地裏で
きみの柔らかさについて
特別な解を見つけて
油断する関節は犇めき合って
予定調和の吐息は七月蝿くて
ギギと握り潰す感触は断続で
映画で観たようなスタイルで
きみの柔らかさを抱いて
ひとしきり泣いて
中点に淀む恥じらいを囁いて
危うげなバイヴレイションで
甘く匂い立つチョコレイトで
そんな試行錯誤を意味づけて
きみの柔らかさが愛しくて
迅速に愛し尽くして
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.063: Title by 芳賀梨花子]
コメント
一行一行の終わりを て(で)にすることで、詩行が連続していき流れが生まれる。そして最終行の最後を てにすることで 余韻が生まれるように感じます。
それは言葉を超えた、きみの柔らかさについて、の詩世界なんだろうと思います。
トノモトさんの詩、もっと言えば、作者と作者を超えた人柄には、大きな世界から見られる愛を感じます。
※訂正。「作者と作者を超えた」という部分の「作者と」という言葉は要りませんでした。拝礼
作者名を隠して、これは誰の作品かと尋ねられたら、使用している単語に特徴はあるものの、トノモトショウだと答えるのは難しいだろう。そういう点でトノモトショウ作品としては異色だ。作者の選択肢に芳賀梨花子があったらそちらを選ぶかもしれない。つまり女性的な雰囲気があるのだ。トノモトショウは何でも書けてしまうため、お題を出す人のイメージに作品を寄せる傾向があるのかもしれない。なんて思ったり。
そうか、それは七月だったのか。と思えるような、詩に込めた言葉の作り方が好きだなぁ。
たかぼさんのコメをみてそうだなぁと思ったね。
最近何十回目で考えてるんだけどさ、詩ってなんなんだろうね。
みんないつもありがとう。
> 王くん
語りたいことあるなら語ってもいいよ。そろそろ掲示板みたいなの欲しいね。
汚物や七月蝿さや濁音なんかがらしさを醸しつつ、やわらかさが心地よいです。
押し寄せる「て」から永遠と終わりを思います。