疎雨

 うすいグリーンのわき立つ雲に
 ひき寄せられる特売レタスの棚
 ダンボール箱の外葉までが
 透きとおるほど明るい

 折り重なる葉から
 やわらかそうな部分をそっと
 摘みとる私の
 バスケット傍に近づく大柄な女性
 伏せられた睫毛のパーマが
 光の中で黒く際立ち、美しい

 大玉のレタスをカゴにとって
 離れるワンピースの後ろ姿
 どこか足どりの軽いそれと
 まわりの気配は重なって
 私の腕時計だけ秒針の速度がズレている
 遅いひるを何にしようか

 ショッピングモールを出た通りには
 やんでいたはずの小雨
 保冷バッグでない手提げの底
 予定外に買ってしまったアイスクリーム

 小走る溝川沿い
 電柱のカラスの一鳴きが妙に
 耳の奥へ湿ってのこる

 

投稿者

滋賀県

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