億の海が
億の海が、
優しい寝息を立てる、
月に、
向けて無言の微笑を送る。
夜空には四つの月が浮かんている。
そのそれぞれに、
この世の理をなす
力の名前が付いている。
引き合うのは、αとβ、
そしてγとδ。
薄く水色に、夜空を染めていく。
はかないね⋯⋯まだ?
忘れてしまった頃に、
人々はこれらの月を見上げて、
荘厳な踊りを踊る。
火の粉が舞う、炎の祭りだ。
そのころ、南の南の陸と、
北の北の島では、
鳥と魚(=いお)とが言葉を交わす、
それらは、世界を作る光輝となって
フィボナッチ数列が、
霊と魂とを結び上げていく。
音と音との次に来るのは、
かすかな雪の震え⋯⋯
やたらとうなずいては、
人が通り過ぎる、
それは誰だった?
魔法を忘れた村人とでも言うの?
億の海が、
優しい寝息を立てる、
月に、
向けて無言の微笑を送る。
夜空に浮かぶ四つの月は、
擬人化された彫像のように、
こっそりと笑まひ、また黙り、
一つの真空へと溶け込んでいく⋯⋯
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