すずきさんとはしもとさん

すずきさんは
たいがいひとりだった
昼休みも
業務中も
だれかとつるむ姿は
見たことがなかった

はしもとさんは
ひとりにさせてもらえない
ことがしばしば
押しの強い同僚に
いくわよ
と言われると
空気を読んでしまうのだった

はしもとさんは
すずきさんを
うらやましく見ていた

ある日たまたま給湯室で
すずきさんといっしょになった
「わたし、ひとりが好きなんで」
なんて、すてきな告白
はしもとさんは
人生ではじめて
ひとり好きのすずきさんに
出逢った
こころがるんるん
スキップした

はしもとさんも
数あるはしもとさんの中では
めずらしい型だが
まさにこの時は
奇跡の出逢い

それから
すずきさんとはしもとさんは
だからといってつるむこともなく

ある日突然お別れが来た
すずきさんは今月で
契約が終るのだそう
「そうですか、ざんねんです」
すずきさんはレモンケーキをひとつ
はしもとさんに手渡した
お互い、ラインを欲しがることもなく
「またどこかでお逢いできたらよろしく」
そう言って別れた

またいつかどこかで出逢っても
すずきさんとライン交換するなんて
もったいないからしないだろうな
はしもとさんはにんまりと
レモンケーキをほおばった

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