玲瓏剔透グライダー
空をまねて
高鳴って
高鳴って
かなしい記憶をいくつも並べて
送り出してやる
風にのせて
透明な花が咲いたら
真空を呼吸するみたいに
どこにでも行けるんだって
そう思いたかった
炎にはなれなかったから
どうか遠くへ届きますように
たどりつけるかぎりの
できるだけの遠くへ
海をなぜて
高まって
高まって
空をまねて
高鳴って
高鳴って
かなしい記憶をいくつも並べて
送り出してやる
風にのせて
透明な花が咲いたら
真空を呼吸するみたいに
どこにでも行けるんだって
そう思いたかった
炎にはなれなかったから
どうか遠くへ届きますように
たどりつけるかぎりの
できるだけの遠くへ
海をなぜて
高まって
高まって
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コメント
この詩は、ある意味、いのりなんだと思いました。
繰り返しも、効いていますね。
かなしい記憶をいくつも並べて
送り出してやる
風にのせて
ここが 特に好きです。
そして、かなしい、が ひらがなだから、悲しい・哀しい・愛(かな)しい、とも読めますね。その言葉の広さを持たせたのは、
あまねさんの筆力の確かさだと思います。
言葉の対称性、文字列の対称性で構成されたこの詩も、精緻な対称性で作られたグライダーに似ていると思いました。
なんかそれぞれ詩に色があるとしたら、透き通っていて、透明なんですよね。あまねさんの詩は。透明だから、どこまでも続いていく。ずっとかなしみが続いていくみたい。
みんながグライダーに引っ張られる中、玲瓏剔透の部分をちゃんと捉えてて、グッときました。
遠ざかっていくものに願いをたくして、見送る気持ち、なんとも言えない情緒を感じます。
上昇して空と同化しやがて海に触れる、それはまさに、大気のことわり。循環性を詩のリズムに感じます。
その大いなる流れの中に悲しみも失意もやがて浄化されていくようでした。
はじまりの予感はあるのですけれど、はじまらないかもしれないし、はじまらないとしても高鳴ったり高まったりすることが祝祭のようです。
めっちゃ玲瓏剔透。
空をまねて、海をなぜて
高鳴って、高まって
透き通って精巧な対称性のイメージがかなしい記憶とともに飛んでいったなー
この詩を読んでから鳥人間コンテストを見たらまったく違うものに見えてしまいそうだ。
あまねさんは、ことばの引き算がうまいなって思います
ことばは、引き算されると、勝手に余白で掛け算になって、読み手に与えるものが増えるような不思議な感覚になります