帰還

公園は灰色の雲に包まれていて向かいに見える山は霞んでいる
人影はない
中央には池がある
木の幹を背にして草の生えた斜面に尻餅をつき緑色の水面を眺めている
右から左へと波紋が広がって行く
くちばしの赤い、小さな黒い鳥が頭を素早く上下させながら泳いでいく
時折鋭い甲高い鳴き声を上げる
頬に当たる穏やかな風が時の経過を忘れさせる
僕は立ち上がることができない

 夜になれば
 横たえた体を夜風が運んで行くだろう
 それは僕が望んでいた永遠への帰還となるのだろうか
 それとも
 もし朝が来れば
 陽が射して
 木の葉に溜まった水玉が滑り落ち額に当たって
 僕は眼を開けるのだろうか

ポケットから硬貨を取り出して宙に投げる
くるくると回りながら掌に落ちる
ひんやりとした感触を指で包み込む
その手に目をやったが指は開かず
そのままポケットにしまう
どうせ風まかせの凧さ
ただ投げ出されているのさ

日が落ちて夜は更けていく
静かな闇を風が横切る
眼を瞑る
・・・もう旅は終わったのかもしれないね
散りばめられた星々の向こう
宇宙の果て、永遠へと帰還するという夢を見る

投稿者

福岡県

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