未送信の静物

 のぼり切る急な傾斜
 旧居のわきの段々畑
 小径沿い、張られるひし形金網が
 白サビの粉末を吐きだしている
 破孔の向こう
 至近距離で咲くアザミ

 アングルの迷路
 タブレットのレンズが光を測距する
 碧落に瞼を伏す一輪は
 こちらをうかがいみることもない
 そこに、花をつけている

 むらさきのおもちゃの雪洞
 粗い砂地に座礁したカマキリのキチン質
 昼なかのはけ雲が
 データーを削除するように流れる
 暗転するバッグの底
 この写真、誰に送信しようか

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 送信先の相手を いろいろと想像させる力のある終わり方ですね。
    でも、データーがいっぱいなのかな。そこも緊張感を感じさせますね。
    そして、タイトルが工夫してあって、いいですね。

  2. @こしごえ
    様
      読んでいただいてコメントもありがとうございます!
      そうなのです。データー処理しないといけないのです。^^
      これは過去作「秋あざみ」の原稿を改訂しました。
      リリーの過去作は大半、言葉のモチーフの組み合わせが
      現代詩として古いとも言われます。それで工夫しています。
      碧落とかも使うのを迷ったのですけど。……。

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