海

潮のにおいは
意外とあまりしなかった

砂はだんだんと目が細かくなり
白く小さな貝が朝も夜も無数に眠っていた
 
 
わたしはただ
そこにいたかった
 
 
寄せては来る波に触れようと手を伸ばした
それは冷たくもなかったし、温かくもなかった
ただ思ったよりずっと透明度が高く
きれいだなと思った

途切れることを知らない陽の光は
水面をこれでもかとキラキラにして
色素の薄いわたしの眼は
眩しすぎて見つめ続けることができなかった

隣を歩くひとは
手を握ったり、カメラに収めたりしながら
ただ静かにそこにいてくれた
わたしが感じたいものを
いっしょに感じてくれた
 
 
わたしはただ
そこにいたかった
 
 
叶うのなら
波に揺られ、耳の奥まで満たされ
手を開いて、それでも繋がっていられる
そんなものになりたいと思った

 
 
 
 
 
 
 

投稿者

大阪府

コメント

  1. 胸がきゅきゅーってなります。(恋か?)
     わたしが感じたいものを
     いっしょに感じてくれた
    それと結びのねがい、
    とてもやわらかくやさしいのにとてもつよくて、なんてことだ!と思いました。

  2. 海は死んだ魂が帰る場所だと聞いたことがあります。
    言葉で苦しめられて亡くなった人が、安らかでありますように。

  3. 海の匂いってたしかに強く感じたり、あまりしなかったりするのですよね。なんででしょうか。
    それは心の在処なのか、つまりこころがどこに向いてるかで感じ方が違うのかもしれません。
    なんも考えぬ虚無に近いほど、海も遠いのにつよく潮の香りに気づいたりして。いえ個人的な感覚です。

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