ロック’ン’ロールの死

あなたにはいつも弔いがある
肋骨の扉
左腕のクレバス
一斉に枯れては芽吹く花園
手向けるに足るとはいえ
触れればほどける八重の
遺した声
掬いきれず
肌理からも侵してくるそれら

あなたのそれらは死産だった
生きるための器官が欠け落ちていた
3Bで描き加え
12号で滲ませる
追い風をどこまでも

木々に紛れるとき
海原に浮かぶとき
明るい人だかりに成るとき
グラッセを頬張るとき
蜜のなかに果てるとき
あなたは幸福かい

月の刻
薄い金属の触れあい
弱いけもののためらい
満ちる頭皮のにおい
逃げなさいと窓を開け
戯れをやめられない
わたしのそれらも死産だったのだから

————————————————

<日本WEB詩人会公認>毎月お題企画、10月、第二回
投稿期間は10/16金曜〜19月曜です。
お題考案はトノモトショウさん
お題『ロック’ン’ロールの死』
※二重鉤括弧含まず、コピペ推奨

詩人の往来のきっかけになると嬉しいです。
⭐︎次回のタイトル考案希望者を募集しております☺︎
公認掲示板も是非ご参照ください。
https://rara.jp/poekai_2021/

☆取りまとめ たちばなまこと
↓ 前回は以下のようにおまとめしました。

「一つのお題に向き合って詩を書く、発表する、人の詩を読む、コメントする、コメントが付く、返信をもらう、返信する、その流れにいるといつの間にかひとつの空間に共に在るような感覚になります。(私は)
アップされた詩を読んでコメントが行き交う様子が好きで、9月から毎月やりたいなと那津さんに相談して実現した企画です。
普段あまり他の人の詩を読まない、読んでもコメントを書くことを遠慮したり躊躇してしまう、本当は話しかけて(コメントを書いて)みたい、自分の詩を読んでもらいたい、コメントを頂きたい、そう思っている方たちもいらっしゃるのではないかと思います。一歩を踏み出す機会になると嬉しいです。」

投稿者

東京都

コメント

  1. 皆さんのコメント欄読んでてやっとわかったんですが(アホ)、英語表記のrock ‘n’ roll のアポストロフィなんですね。
    andの部分。
    確かに何で日本語表記だと’消えるんでしょう。

    私の場合は雰囲気で書きました。
    ・“あなた”にとってのrock ‘n’ rollの死とは
    ・知ろうとしたらうつったかも
    ・孕んだが死んだもの(ロック)たち
    ・‘ン’からしりとりを連想
    ・秋の夜の換気

  2. あまりに人間的であります故に、つまり〈開け放たれた窓〉、そこから見える景色の、変化し、また不変である故に、たいていの感情は、秋の空に相似形です。るるとして、ららとして、こんりんのたんたんたんとして。

  3. 私は失敗することが多いため、行ったことが死に結末する、切ない詩と読みました。こうやって、死をきちんと捉えることが、数々の失敗への弔いなのかなあ…とも思いました。美しい静けさも、流れてきました。

  4. ロックにももロールにもンにも触れずに『ロック’ン’ロールの死』を描き切るところにロックを感じますし、冒頭の「弔い」からの「死産」が秀逸過ぎて。四連目で濃密さを増して自分に戻ってくるあたりもグッと来ます。

  5. たちばなさんの詩を読むとなぜかいつも吉原幸子の詩を思い出します。「オンディーヌ」とか。つまりとても女性的な感覚に触れるというか。それにしてもこのお題でこれを書くとはおそれいります。ある意味ぶっとんでいるのかも。そこがロック。「死産」という言葉の使い方がいいですね。

  6. 詩に描かれる死は概念的な死なのか、現実的な死なのか。もちろん、というか当然相立つのが詩です。
    一瞬センチメンタルな面持ちになりかけましたが、いやこれは自省も兼ねた批判のうただった。ロックとしかいいようがない。

    そしてボブ・マーリーが歌い、ジョー・ストラマーも歌った「Redemption Song」に通じるものも感じました。特に最後のカッコ書きの呼びかけを含めて。
    共感をこめて。

    なのでやっぱり勝手に「Redemption Song」を高らかに捧げます。聴こえないでしょうけど。

  7. 一行目から ヤラレマシタ。

    あなたにはいつも弔いがある

    あなたのそれらは死産だった

    わたしのそれらも死産だったのだから

    これらは、愛だ、と思います。愛があるから生もう(産もう)とする。けれど、死産だった。だから弔いがある。愛。

    この詩は、とても安定感のある筆致で書かれていて、安心して拝読しました。
    好きな詩です。
    大切な悲しみの在る、大切な詩だ、と感じます。

  8. 静的な雰囲気の中に、動的なメロディーを感じます。
    あと、コメントをくださったとき、返事を書いたのですが、メンションの方法がよく分かっておらず……。メンションできてませんでした。済みません。

  9. たちばなさんの詩を読んだら、死産の使い方が比喩のように感じました。なるほど死んだものを産み出したら死産か…と。それらがいたるところであり、弔いもまたある。あまりたちばなさんの詩を読み込むの得意じゃないですが、そんな感じでした。

  10. @坂本達雄
    さん
    人間ばかり見て人間のことばかり考えていたらすっかり人間的になりました。
    いつのまにか虫が何か奏でる季節に。
    ”たいていの感情は、秋の空に相似形”
    いいですね。

  11. @野鳥倶楽部
    さん
    美しい静けさとは嬉しいです。
    概念みたいなものは死んでいるのですが、そちらを獲られたとしても生きようとする者たちのうた、みたいな。
    私も失敗ばかりです。失敗は恐れない性分で人を困らせることもよくあります。(えへへ)

  12. @あぶくも
    さん
    私の力量では”触れられなかった”だけ、という……(えへへ)
    ほとんどかすべての何かの中には死(終わり、この詩ではンという音)が内包されていると実感しています。
    だから毎日不意に弔いが始まります。鎮魂なのかもです。

  13. @たかぼ
    さん
    吉原幸子さんとは。なんと。褒めちぎってくださりありがとうございます。(身体感覚を書きがち)
    ロックは聴くのですがオルタナティブ、テクノロックが好きです。(だからこうなったかというと謎。ぶっとんでいるって言われると嬉しいものですね。)
    死産については、私なりに重く受け止めて使いました。日々命をつなぐお人からのいいね、大切にします。

  14. @王殺し
    さん
    おっしゃる通りで。(えへへ)概念寄りで死への動線の解明のようでもあります。
    終わりがあるから幸福があるのでしょう。
    大いにセンチメンタルになっていただいていいんですよ。ようこそ。
    いつもぐぐっと入り込んで読んでくださるの嬉しいです。

    「Redemption Song」を聞いてきましたよ。不意に街角で許しをくれるお兄さんのような歌ですね。

  15. @こしごえ
    さん
    こしごえさんはよく”大切な悲しみ”という輪郭を描いてくださいますね。
    いつも、その人差し指、または手のひら、またはハグの動作にやわらかさを感じております。
    筆致、安心しましたか。私にとっては興味深い感想です。

    こしごえさんに抱えきれないほどの安らぎや愛が吸い込まれますように。

  16. @FIELD-RAVEN
    さん
    感想嬉しく思います!
    動的なメロディーという表現がすてきです。外観静かですが中身は星のコアみたいになっています。
    ご丁寧にお知らせくださりありがとうございます。

  17. @花巻まりか
    さん
    Don’t read. Feel.
    死産は完全に比喩に使いました。それくらいに重い喪失ということで。
    ほんとに、読んで何か感じてもらえるだけで、ましてや感じて何か書いてくれるなんて、嬉しくて仕方がありません。

  18. 今までのお題は、まあ難解ではありつつも、割と全方向に開かれているというか、それぞれ捉えるアプローチ次第でなんとかなるものだったけど、今回あえてこのお題にしたのは、ロックンロールに造詣があるかないかではっきり誤差が出るんじゃないかと思ったのです。でもみんな ‘ン’ や 死 から巧く連想するなあと感心しました。何事にも死はある、けどその真裏に生があるのだなあと。

  19. たかぼさんのコメントに同感!
    もうたちまこさんの詩は女性的な感性が、そういう言葉をダイレクトに使わなくても全開!どうして!
    いつも驚きと共に、ふわふわします。きゅっとか。
    あと勉強になる、ことばの
    死産は強烈な言葉なのに、たちまこさんが使うと違う
    それは圧倒的な母性からなのか、職人の感性からなのか、いつも想像する

  20. @トノモトショウ
    さん
    そうなんです、今までは全方向に開かれていたんです。トノモトさんが考えて下さったお題、ぎゅっとピントを絞られた感じで感慨深いというか独りで旅に出たくなるような(余計わかんないか)心地になりました。
    私の場合はロックが死んでるんだよなぁ、からのおっしゃるような生や再生が出てきました。
    てか皆さんの詩が全部面白くて最高。

  21. @イチカワナツコ
    さん
    子どもの頃から身体感覚と外部との輪郭について考えているみたいで、変換、例え
    翻訳するものが体を通して描く言葉になります。私が女性なので伝わるのが女性のそれらなんでしょうね。
    ふわふわ、きゅ、はきっと実際書く側もその時点で感じているのだと思います。
    嬉しいです。

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